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2020.07.04相続と民法改正 その10(自宅の生前贈与)
おしどり贈与での遺留分の注意点です。
おしどり贈与で取得した財産は、相続税の計算においては持ち戻しの対象外なのですが、遺留分の計算には含まれることになっています。
例えば、父が死亡して、母と子1人が相続人、相続財産が現金500万、おしどり贈与で取得した自宅2000万があったとします。
そして、遺言で現金500万は全額母のものとされていたとします。
さらにそれを子が不服として遺留分を求めたとします。
もしおしどり贈与がなかったとしたら、子の遺留分は、
500万×1/2×1/2=125万となり、母は子に125万渡すことになります。
ところが、おしどり贈与がある場合の子の遺留分は、
(2000万+500万)×1/2×1/2=625万となります。
母は子に625万渡す必要があるのですが、今回の民法改正で遺留分の精算は現金が原則となりました。
つまり、625万の現金を渡さなければいけないのですが、遺産は500万です。
足りない部分を母に手持ちがなかったら、自宅を売却することになりかねません。
おしどり贈与をする場合、他の相続人の遺留分を侵害しないかを確認の上、贈与しなければいけないという事ですね。
おしどり贈与については今回で終わります。
豊村
岡庭グループでは、土地や建物からファイナンシャルプランニングまで幅広いサービスを行っています。