築60年古民家改修完成/性能向上リノベ

「リフォーム・リノベ」
隊長IKEDA隊長

皆さん、こんにちは!IKEDA隊長です。

今日は、地元・西東京市の築およそ60年の古民家改修が、ようやく完成を迎えました。初めてこの家に伺ったとき、佇まいと庭の緑、そして畳の間が連なる落ち着いた風景に、隊長もキノベスタッフも言葉を失いました。新築にするべきか。それとも、この佇まいを活かすべきか。お施主様と何度も話し合いを重ね、「この内外の景色は残したい」という施主様の想いが、背中を強く押しました。唯一の大きな悩みは“寒さ”。そこで方針は明確になり「性能向上リノベーション(木ノベーション)」への判断となりました。

変えない勇気、変えるべき性能

今回の計画は、「間取りや開口位置は変えない」。視線の抜けや庭の切り取り方、季節の光の入り方は、その家の記憶そのものだからです。一方で中身は徹底的に見直しました。無断熱の状態から、断熱等級6弱相当まで底上げ。地域条件と現場の制約を踏まえ、屋根・壁・床の順に熱の逃げ道を塞ぎ、窓もすべて高性能化しで熱の損失を抑えました。冬の底冷えと結露の悩みを、設計段階から数値と納まりの両輪で計画!。

命を守る骨格づくり「耐震は既存で等級3相当」へ

古民家は架構の美しさが魅力ですが、耐震の不安がつきまといます。精密な耐震診断を行い、壁量の再配分、金物補強、基礎の補修・連結、小屋組の水平構面の強化などを施して、既存躯体と新たな駆体を組み合わせ耐震等級3相当を確保。見える梁や柱は極力そのままに、見えないところで効かせる。このバランス感覚が、設計・施工型工務店、おかにわリフォーム工房としての腕の見せどころです。

美をつなぐ手しごと「欄間と組子の再現」

意匠面では、欄間(らんま)を活かし、書院障子の組子は採寸からはじめて新たに制作。目の細かい組子が生む柔らかな陰影は、断熱内窓の前景としても美しく、昼と夜で表情を変えます。開口の位置関係は一切動かさず、庭の眺めも、光の入り方も、家が歩んできた歴史のレンズを通してそのまま受け継いでいます。

1年かけた工期はおよそ一年。解体して初めて分かること、現場での判断が問われることが山ほどあります。だからこそ、私たちは毎現場で社内検査・検討会を開催します。今回は設計・施工のおかにわリフォーム工房キノベチーム総出で、喧々諤々に社内検査検討会時に議論。各職方さんの知恵を含め今後のより良い性能向上リノベーションへ引き継いでいきます。

仕上がった空間に流れる「懐かしさ」

猛暑もようやく終盤。畳の間が続く昔ながらの佇まいは、やはりどこか懐かしい。エアコンはこれから設置ですが、改修後の室内は風の通りが素直で、座っているだけで身体が楽です。性能を上げたはずなのに、空気は軽い。歴史を引き継ぎながら、中身は確かに新しい。そんな不思議な感覚に包まれます。ここからこの家が、また新しい歴史を重ねていくのだと思うと、工務店として達成感を感じます。

新築か、活かすか。正解はひとつではありません。ただ、佇まいに心が動いたなら、それは大切なサインです。私たちは、設計・施工型工務店として、「変えない勇気」と「変える技術」を鑑み答え探しを一緒に手掛け伴走していきます。今回は見学会の開催が叶いませんが、竣工写真やプロセス等は、今後ホームページ等でご紹介していきますね。古民家の性能向上リノベーションにご興味のある方は、遠慮なくご相談くださいませ。m(_ _)m

隊長

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