「GX ZEH」2027年から始まる新たな水準が・・

「住宅性能」のこと
隊長IKEDA隊長

皆さん、こんにちは!IKEDA隊長です。
先日、経済産業省と国土交通省から、新しい住宅の省エネルギー性能の定義「GX ZEH(ジーエックス・ゼッチ)」と「GX ZEH-M」が発表されました。これは、2030年代後半に広く普及が期待される住宅の水準を示すもので、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた重要な指針となります。

この発表を受けて、私たち岡庭建設の現在の住宅性能と照らし合わせて考えてみたところ、実は私たちがこれまで標準仕様として提供してきた住宅は、すでにこの新しい水準を満たす、あるいはそれ以上の性能を実現していることがわかりました。今回はこの新しい定義について、そして私たちの家づくりとの照らし合わせしつつ解説できればです。

GX ZEHとは何か〜2030年代後半を見据えた新しい水準

GX ZEHの「GX」は「グリーントランスフォーメーション」の略で、脱炭素社会への転換を意味します。従来のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)よりもさらに高い省エネルギー性能を目指す住宅の定義です。

この定義が生まれた背景には、「2030年にZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」、そして「2050年のストック平均でのZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」という2つの国の目標があります。

つまり、現在のZEH基準の水準が将来の「当たり前」となる時代に向けて、省エネルギー性能牽引の担い手であるZEHには、今後、より高い省エネルギー性能を掲げることが期待されています。そこで定義されたのが、このGX ZEHなんですね。

重要なのは、これが単なる「義務的な最低基準」ではなく、2030年代後半に広く普及が期待される住宅の「あるべき水準」として定義されたという点ですかね。未来の住宅の姿を示す、いわば指針となる定義だと思います。

上空写真;ゼロエミガルテンヤギサワ(やまぼうしの森)

GX ZEHの具体的な要件〜求められる性能水準って?

GX ZEHシリーズには、性能レベルに応じて「GX ZEH+」「GX ZEH」「Nearly GX ZEH」「GX ZEH Oriented」という4つのグレードがあります。基本となる「GX ZEH」の要件を見てみると・・・

1. 断熱性能の要件

  • 外皮性能は、断熱等性能等級6における UA値(外皮平均熱貫流率)および ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)の水準を満たすことが求められます。 断熱等性能等級6は、2022年10月に新設された最高等級です。これは、HEAT20のG2グレード相当の高い断熱性能を意味します。東京などの6地域では、UA値0.46W/㎡K以下という厳しい水準が設定されています。

2. 省エネルギー性能の要件

  • 再生可能エネルギー等を除いた状態で、基準一次エネルギー消費量から35%以上の削減が必要です。これは、高効率な設備機器の導入により、暖冷房、換気、給湯、照明のエネルギー消費を大幅に削減することを意味します。

3. 再生可能エネルギーの導入と自家消費の拡大

  • 太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入し、再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の削減を実現することが求められます。つまり、年間の一次エネルギー消費量の収支を正味ゼロまたはマイナスにすることを目指します。 また、今回の定義では、自家消費拡大措置を通じた住戸単位でのエネルギー自給率の向上が重視されています。これは、単に太陽光発電を設置すればいいということではなく、発電した電力を自宅で効率的に使うことの重要性を示しています。

4. 設備要件〜エネルギーマネジメントの高度化

  • さらに、戸建住宅では以下の設備要件も必須となります。 高度エネルギーマネジメント(HEMS): 再生可能エネルギーの発電量等を把握した上で、住宅内の冷暖房設備、給湯設備等を制御可能であること 定置用蓄電池: 蓄電池の充電量・放電量を制御できること(GX ZEH Oriented を除く) これらの要件を見ると、単に断熱性能が高いだけでなく、省エネ設備、再生可能エネルギー、エネルギーマネジメントシステムを統合的に導入することが期待されていることがわかります。

岡庭建設の標準性能〜すでに新しい水準を実現しています

ここで、私たち岡庭建設が現在、標準的に設計・施工を手掛けている住宅の性能と見て見てみます

断熱性能:等級6を標準仕様に

  • 私たちは、2019年4月以降、東京ゼロエミ住宅相当の省エネ性能を標準とし、断熱性能についても昨今ZEH基準以上であるHEAT20 G2(非防火地域)相当を実現してきました。これは、まさに断熱等性能等級6に相当する性能です。 東京都の6地域においてG2グレードを実現するということは、UA値0.46W/㎡K以下を達成しているということです。これは、GX ZEHで求められる断熱性能の水準を完全に満たしています。 一次エネルギー消費量:等級6を実現 私たちの住宅は、

一次エネルギー消費量:等級6を実現

  • 私たちの住宅は、一次エネルギー消費量等級6を実現しており、基準一次エネルギー消費量から約35%以上の削減を達成しています。(*お施主様の選択される設備性能により変わる場合があります)これは、GX ZEHで求められる省エネルギー性能と同等の水準です。 高効率なエアコン、高効率給湯設備、LED照明、換気システムなどを適切に組み合わせることで、この高い省エネ性能を実現しています。

断熱性能:等級6を標準仕様に

長期優良住宅を全棟で(敷地面積が規定以上の場合他)

  • さらに、私たちはすべての住宅を長期優良住宅の水準で設計・施工しています。耐震等級3(許容応力度計算による)、劣化対策等級3、維持管理対策等級3など、断熱・省エネ性能だけでなく、構造の安全性や耐久性も含めた総合的な住宅性能を確保しています。 2016年の熊本地震の際、現地で耐震等級3の家が無傷もしくは軽微な損傷で済んでいる様子を目の当たりにしました。大規模な余震を想定すれば、耐震性には余力が重要です。この経験は、私たちが全棟で許容応力度計算を行い、柱の一本一本まで強度を確認する理由でもあります。

東京都における課題〜太陽光発電と狭小地の現実

  • GX ZEHでは再生可能エネルギーの導入が要件となっていますが、東京都、特に私たちが主に活動している西東京市周辺の住宅事情では、この点に大きな課題があります。 敷地面積と屋根面積の制約 東京都内、特に都心部や住宅密集地では、敷地面積が限られています。北側斜線、高度斜線制限がある低層住居専用地域では、建物の高さや形状に制約があり、必然的に屋根面積も限られます。 太陽光発電システムは、一定以上の屋根面積があって初めて効果的な発電量を得ることができます。しかし、85㎡未満の狭小地や、建物の向き、周辺建物による日影の影響などを考えると、すべての住宅で十分な発電量を確保することは現実的に困難な場合があります。太陽光発電については、東京ゼロエミ住宅等の判断基準をベースに適切に設置判断して参ります

東京都ゼロエミ住宅の考え方

東京都は、2025年4月から新築住宅への太陽光発電設置を原則義務化する方針を示していますが、同時に「東京ゼロエミ住宅」という独自の制度も設けています。東京ゼロエミ住宅では、断熱・省エネ性能を高めることを重視しており、太陽光発電については、敷地条件や建物形状等によって設置が困難な場合には柔軟な対応が認められています。私たちは、まず第一に断熱性能と省エネ性能を確実に高めることが、東京都の住宅にとって最も重要だと考えています。これは、建物の寿命が数十年に及ぶ中で、一度建ててしまうと後から変更することが難しい「躯体性能」だからです。
一方で、太陽光発電システムや蓄電池は、技術の進歩が早く、将来的により高効率で安価なシステムが登場する可能性があります。また、EV(電気自動車)の普及に伴い、V2H(Vehicle to Home)システムを活用することで、車のバッテリーを家庭用蓄電池として利用することも現実的になってきています。

室内写真;ゼロエミガルテンヤギサワ(やまぼうしの森)

私たちおかにわ建設として

したがって、私たちは以下のような考え方でお客様に提案をしています。

  1. 断熱・省エネ性能は妥協しない: 等級6の断熱性能と35%以上の省エネ性能を標準で実現
  2. 太陽光発電は個別に検討: 敷地条件、屋根形状、周辺環境、お客様のライフスタイルを総合的に判断して最適な提案を行う(東京都の判断基準ベース)
  3. 将来の拡張性を確保: 太陽光発電や蓄電池、EV充電設備を後から追加できるよう、配線や設置スペースを考慮した設計を可能な範囲で行う(*設備は常に技術革新や、配線等の方法も変わりますので)

GX ZEH Orientedという区分は、まさにこのような「太陽光発電の設置が困難な都市部狭小地」を想定して設けられたものです。敷地面積85㎡未満で北側斜線・高度斜線制限の対象となる地域では、高い断熱・省エネ性能を確保すれば、太陽光発電なしでもGX ZEH Orientedとして認められます。

これは、東京都のような都市部の実情を踏まえた、現実的な定義ですね。面積をもう少々幅が欲しいところですが・・笑。

豊かな暮らしと住まいの性能〜本当に大切なこと

ここで、私が常々お客様にお伝えしている大切なことをお話しさせてください。
GX ZEHという新しい水準が定義され、数値で示される性能が明確になることは、住宅の質を担保する上で非常に重要です。しかし、性能数値だけを追い求めることは、私たちはしません。

なぜなら、「豊かなくらし」のために「性能」があるからです。
例えば、リビングに大きな窓とウッドデッキを設えて、友人を招いて賑やかにバーベキューを楽しむ週末。お子様が庭木に実るブルーベリーの様子を眺めながら食卓でデザートの準備をする。こんな夢見たくらしのために家を建てるのに、断熱性能の数値を求めるあまり、リビングには小さな窓しか選択できないとしたら、本末転倒ではないでしょうか。

「窓」というパーツについて考えた時、断熱性能を優先すれば、もちろん開口部は出来るだけ小さい方がいい。しかし、小さな窓で、夢に描いていたくらしは実現できるのでしょうか。お子さまからお年寄りまで一緒に暮らす二世帯住宅なのに、気密性が下がってしまうことを気にしすぎて、使いやすい「引き戸」ではなく重い「開き戸」にしてしまったとしたら、日々の暮らしやすさは損なわれてしまいます。

私たちは、住まいの性能を「最適化」することが、プロである作り手の仕事だと考えています。
プロとして設計士が意見を伝え、くらしの主体である住まい手が夢に見るシーンや必要な機能を伝える。私たちの「みんなでつくるくらし。」という理念は、どちらかの意見や考えが優先されるのではなく、住まい手と作り手が一緒に「豊かなくらし」のこたえを探す、そんな家づくりを表しています。

高性能は「手段」であって「目的」ではない

写真;ゼロエミガルテンヤギサワ(さくらの森)

断熱等性能等級6や一次エネルギー消費量35%削減という高い性能水準は、決して数値競争のためのものではありません。

高い断熱性能があれば、冬は少ない暖房で家全体が暖かく、夏は涼しく快適に過ごせます。室内の温度差が少なくなることで、ヒートショックのリスクも軽減され、お年寄りにも優しい住環境が実現します。高い省エネ性能があれば、光熱費を抑えながら快適に暮らせます。これは、お子様の教育費や将来の備えなど、人生の大切な場面で経済的な余裕を生み出します。

構造の安全性が確保されていれば、地震が来ても安心して暮らせます。家族の命を守り、大切な思い出が詰まった住まいを次の世代へと受け継いでいくことができます。つまり、高性能住宅とは、家族が安心して、快適に、経済的にも無理なく、永く住み継いでいける住まいを実現するための「手段」なのです。

GX ZEH時代における私たちの家づくり

2027年4月からGX ZEHの定義が正式に適用されますが、私たちは、すでにその水準を満たす住宅を、標準仕様として提供し続けてきました。これは、何も特別なことをしてきたわけではありません。ただ、「愛着を持って永く住み継ぐ自然素材の木の家」という私たちの理念を実現するために、必要な性能を追求してきた結果なのです。

今、建てることの意味

「2027年に新しい水準が適用されるなら、それまで待った方がいいのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、考えていただきたいのは、新しい定義の適用を待つということは、その間の「暮らしの時間」を失うということです。お子様の成長は待ってくれません。家族との思い出を育む時間も、今この瞬間にしかありません。

私たちは、すでにGX ZEHの水準を満たす性能を実現しています。加えて、構造の安全性、自然素材の心地よさ、暮らしやすい間取り、そして何より、お客様一人ひとりの「豊かなくらし」の実現を大切にした家づくりを行っています。

2027年を待つ必要はありません。今、最高水準の性能と、お客様の理想の暮らしを両立した住まいを手に入れることができるのです。

補助金や税制優遇も

長期優良住宅の認定を受けた住宅は、補助金、住宅ローンの金利引き下げ、税の特例や地震保険料の割引などを受けることができます。さらに、高品質な住宅というお墨付きを得ていると認められるため、通常の住宅と比べて資産価値が維持されやすく、将来的な売却時にも有利となります。また、東京都のゼロエミ住宅に適合する場合、都の補助金を活用できる可能性もありますし、「GX ZEH」の普及に向けて今後、補助制度などの施策も想定されます。

これらの制度を活用することで、初期投資の一部を回収しながら、高性能住宅を手に入れることができますので、情報があり次第引き続きお伝えしていければです。

完成例;りょくどうのオアシスより

未来を見据えた家づくりを

GX ZEHという新しい水準の定義は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた大きな一歩です。これから建てられる住宅は、維持管理が施されれば、数十年、あるいは100年以上?にわたって使われていかれるかもしれません。その長い時間の中で、家族が安心して、快適に、そして幸せに暮らしていくためには、確かな性能と、暮らしやすさの両立が不可欠です。

私たち岡庭建設は、GX ZEHという新しい水準をクリアする性能を標準仕様として提供しながら、同時に、お客様一人ひとりの「豊かなくらし」を実現することを何よりも大切にしています。性能数値の競争ではなく、性能の「最適化」。そして、住まい手と作り手が一緒に「豊かなくらし」のこたえを探す家づくり。もし、これからの家づくりをお考えでしたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。GX ZEHのこと、東京都の住宅事情のこと、そして何より、皆様の理想の暮らしを実現するための最適な方法を、一緒に考えさせていただければと思います。

 

隊長

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