エコプラザ西東京主催「省エネセミナー」講師を

「隊長の活動他」のこと
隊長IKEDA隊長

皆さん、こんにちは!IKEDA隊長です。

先日、西東京市のエコプラザ西東京にて開催された「知っておきたい!省エネ住宅〜新築・リフォームのポイント〜」の講座で講師を務めさせていただきました。今回のセミナーは、定員20名のところ満員かつキャンセル待ちが出るほどの盛況ぶりで、市民の皆様の省エネ住宅への関心の高さを改めて実感する機会となりました。

2030年、2050年を見据えた住まいのあり方

今回のセミナーでは、タイトル通り「新築とリフォームにおける省エネ住宅のポイント」について、2030年、そして2050年を見据えた新築住宅のあり方を中心にお話しさせていただきました。

特に重要なポイントとして、2030年には新築住宅においてZEH水準の省エネ性能が義務化される予定であることをレクチャー。つまり、今から約5年後には、現在「高性能住宅」と呼ばれているZEH水準が、新築住宅の「最低基準」になるということです。

私たちが目指すべき住宅の姿は、単に「今、快適であればいい」というものではありません。これから訪れるカーボンニュートラル社会において、住宅が果たすべき役割は非常に大きく、特にエネルギー消費の観点から、住宅の高性能化は避けて通れない課題となっています。

2030年のZEH水準義務化は、決して遠い未来の話ではありません。今、新築を検討されている方はもちろん、既存住宅にお住まいの方にとっても、この大きな転換点を理解しておくことが重要ですね。

ZEH住宅と東京ゼロエミ住宅について

セミナーでは、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅や東京ゼロエミ住宅について詳しく解説させていただきました。

2030年に義務化されるZEH水準とは、具体的には断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上の性能を持つ住宅を指します。これは、高い断熱性能によってエネルギー消費を抑え、さらに高効率な設備によって必要なエネルギーを削減するという考え方です。

東京ゼロエミ住宅は、東京都が独自に設定した高い省エネ基準を満たす住宅です。国のZEH基準をさらに上回る断熱性能が求められており、まさに2030年、2050年のスタンダードとなるべき性能水準と言えます。「2030年にZEH水準が義務化されるということは、今から建てる家はどうすればいいのか?」・・セミナーではこうした疑問にもお答えしました。これらの高性能住宅がどのようなメリットをもたらすのか、そして補助金制度なども含めて、具体的な事例を交えながらお伝えしました。

普段は目にしない建材を実際に見て、触れて理解する

今回のセミナーで特に力を入れたのは、「体験」です。

どのようにしたら家が暖かく涼しくなるのか・・この問いに答えるため、断熱材のサンプルや窓のサンプル(樹脂サッシやトリプルガラス)など、完成した家では壁の中や窓枠の中に隠れてしまい、普段は目にすることのない建材を実際に展示してご覧いただきました。

「断熱材って、このような種類があるんですね」 「樹脂サッシとアルミサッシ、何がどう違うんですか?効果は?」

参加者の皆さんからは、実物を手に取りながら様々な質問をいただきました。カタログや数値だけでは伝わらない、建材の質感や重さ、厚みを実際に体感していただくことで、省エネ住宅の本質をより深く理解していただけたのではないかと思います。

私たちは日々これらの建材と向き合っていますが、一般の方にとっては完成後には窓表面以外「見えなくなってしまう」存在です。だからこそ、こうした機会に実物を展示し、実際に手に取っていただくことの意義は大きいと考えています。

住宅の性能を左右する最も重要な部分は、実は完成してからは見えなくなってしまう部分なのです。壁の中の断熱材、窓枠の中に入っている樹脂やガラスの構造これらこそが、何十年にもわたる快適さと省エネ性能を支える要となります。

既存住宅の断熱改修――段階的アプローチの重要性

セミナーの後半では、既存住宅の断熱性能向上についてお話ししました。

新築住宅だけでなく、既に建っている住宅の断熱性能をいかに向上させるか――これは日本の住宅ストック全体の省エネ化を考える上で、極めて重要なテーマです。

既存住宅への対応方法については、コスト別に複数のアプローチをご紹介しました。

  • 小さなことから始められる部分断熱改修
  • 一部屋だけの断熱改修(「ぶぶだん」)
  • 全面的な性能向上リノベーション

予算や住まい方に応じて、段階的に断熱性能を向上させていく方法があることをお伝えしました。事例写真や実際の改修事例をもとに、「こんな方法もあるんだ」という発見をしていただけたのではないかと思います。大規模な改修が理想ではありますが、一度にすべてを行うことが難しい場合も多々あります。しかし、「できることから始める」という姿勢が大切であり、小さな一歩が将来的な大きな改善につながることを、技術者の立場からお伝えさせていただきました。

市民の意識の高まりを実感

今回のセミナーで最も驚いたのは、参加者の皆さんの理解力と質問のレベルの高さでした。近年、インフレによる光熱費の高騰や記録的な夏の猛暑などもあり、住宅の断熱化や省エネ化に対する関心は確実に高まっています。しかし、今回のセミナーに参加された皆さんは、単に「光熱費を下げたい」という表面的な関心だけでなく、住宅性能そのものへの深い理解を持ち、将来を見据えた質問をされる方が多かったのです。

「断熱性能のレベル感」 「既存住宅の耐震改修と断熱改修を同時に行う場合の注意点」 「2030年以降の省エネ基準について」

こうした専門的な内容にも踏み込んだ質問がセミナー終了後以降次々と寄せられました。参加者の皆さんの真剣な眼差しと熱心な姿勢に、私自身も大いに刺激を受けました。住宅の高性能化に対する市民の意識が、ここまで高まっているのかと実感した次第です。

2030年、2050年――その頃には、私たちが今「高性能」と呼んでいる住宅が、最低基準となっているでしょう。むしろ、さらに先を行く住宅性能が求められているかもしれません。建築士、専門技術者として、そして地域の工務店として、私たちはその未来を見据えながら、一軒一軒の住まいに真摯に向き合っていきたいと考えています。義務化という制度の後追いではなく、常に一歩先を行く技術と提案で、住まい手の皆様の豊かな暮らしを実現していきたいと改めて思いました。満員御礼となった今回のセミナー、そして参加者の皆さんの熱意に応えられるよう、これからも技術を磨き、知識をアップデートし、より良い住まいづくりに邁進し、地域の方々に寄与してまいります。

以上、セミナー報告でした。

隊長

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