東京大工塾&岡庭建設を視察
皆さん、こんにちは!IKEDA隊長です。
11月7日(金)〜8日(土)、JBN(一般社団法人全国工務店協会)主催の「東京大工塾・岡庭建設&ハウステックス視察」が開催され、全国から社員大工育成に取り組む工務店の皆さまをお迎えいたしました。二日間にわたる充実した視察研修会のその模様とは・・・・
全国から集まった80名の工務店の仲間たち
今回の視察研修会の主なテーマは「東京大工塾の大工社員大工育成の取り組み」です。北は北海道から南は九州まで、すでに社員大工を育成している工務店や、これから育成を始めようとしている工務店など、約80名もの仲間たちが東京に集まりました。大工の高齢化と担い手不足が深刻化する中、各地の工務店がそれぞれの地域で、この課題にどう向き合っているのか。そんな想いを持った経営者や担当者の皆さんの真剣な眼差しが印象的。
初日は、私ども岡庭建設と杉並区のハウステックスさんの会社・現場を視察していただきました。弊社では、現在進行中の「ゼロエミガルテン・ヤギサワ」の現場を見学いただきました(バス移動で)。実際に作業をしている社員大工たちに直接質問を投げかけていただき、若き大工たちの率直な想いや考え方を共有する時間となりました。「なぜ大工になろうと思ったのか」「訓練校での学びはどう現場で活きているのか」「将来どんな大工になりたいのか」参加者の皆さんからの質問に、緊張しながらも一生懸命答える若手大工たちの姿がありました。技術だけでなく、仕事に対する姿勢や誇りを持って働く姿を見ていただけたことは、私たちにとっても大きな励みでもあります。


おかにわ大工マイスター制度を包み隠さず公開
岡庭建設では、社員大工の技術と意識の向上を目指して独自お「おかにわ大工マイスター制度」を導入しています。この制度は、見習いから熟練大工に向けてマイスターへと段階的に成長していく道筋を明確にし、それぞれの段階で求められる技術や知識を可視化しているものです。
今回の視察では、このマイスター制度のマニュアルを包み隠さず公開させていただきました。評価基準や育成プログラム、技術チェックシートなど、私たちが試行錯誤しながら作り上げてきたノウハウを、全国の仲間たちと共有させていただきました。(JBN会員向けに)。
私たちだけで抱え込むのではなく、こうした取り組みを広く共有することで、少しでも全国の若き大工の担い手が増えることを期待しています。業界全体で大工という職業の魅力を高め、次世代に技術を継承していくことが、私たち業界団体でもあるJBN工務店の使命だと考えています。



主催者挨拶:JBN大工育成委員会 首藤委員長(北海道)
東京大工塾という地域工務店連携の形
夕方からは場所を吉祥寺に移し、弊社も役員として取り組む「東京大工塾」の活動についてレクチャーさせていただきました。
東京大工塾は、大都市東京において、工務店や資材メーカーが横断的に連携し、社員大工を育成するシステムです。地域で大工育成に取り組む例は全国的にも少なく、特に大都市で、しかも複数の工務店と資材メーカーが協力して人材育成を行う取り組みは、非常に珍しいものです。それぞれの工務店が持つ技術やノウハウを共有し、資材メーカーの協力を得ながら、より実践的で体系的な育成プログラムを実現しています。一社だけでは難しいことも、地域の仲間と力を合わせることで実現できる。そんな可能性を感じていただけたのではないでしょうか。ぜひ、これらの制度を活用して大工を目指して頂きたいです。


若き大工たちが壇上へ
そして、この吉祥寺での講習会では、東京大工塾の取り組みを説明するだけではなく、実際に社員大工の若者たちが壇上に上がり、会場からの質問に直接答える時間も設けました。弊社からも社員大工3名が男女で壇上に上がり、「大工になった理由」「入社してから苦労したこと」「これからも社員大工として活動していく想い」など、様々な質問に対応しました。全国から集まった工務店経営者や担当者の皆さんを前に、少し緊張した面持ちでしたが、自分の言葉でしっかりと語る姿は、会場から見ていても非常に嬉しく、勇ましく感じました。若い大工たちの素直な言葉に、会場からも温かい拍手が起こりました。こうした生の声こそが、これから大工育成に取り組もうとしている工務店の皆さんにとって、何よりの参考になったのではないでしょうか。
熱い想いが交わる大懇親会
夜は、東京大工塾のメンバーも加わり、総勢120名ほどの大懇親会となりました。そして二次会へと社員大工と共にに続く長い夜…。全国各地の工務店が、それぞれの地域での取り組みや課題を語り合い、大工育成について熱く語る時間が続きました。北海道の厳しい冬場の対応、九州での若手確保の工夫、各地域特有の建築文化と技術の継承など、それぞれの地域性を踏まえた貴重な情報交換の場となりました。「同じ悩みを持つ仲間がいる」という安心感と、「こんな取り組みもあるのか」という新たな気づき。この両方を得られる時間こそが、こうした集まりの最大の価値でもあります。


二日目:訓練校視察で見る育成の現場
二日目は、引き続き大工の訓練校を視察していただきました。弊社の社員大工も、入社後は訓練校に2年間通いながら仕事をしていきます。週に1日は訓練校で基礎から応用までを学び、残りの日は現場で実践を積む。この「学び」と「実践」のサイクルが、確かな技術を身につける上で非常に重要です。
正直に申し上げると、訓練校に通っている時期は、会社からすると週休2日に加えて訓練校の1日があるため、実質的には週休3日のような状況になります。現場の稼働という観点では、短期的には負担となる側面もあります。しかし、それでもこの投資を惜しまないのは、しっかりとした基礎技術と知識を身につけた大工を育てることが、長い目で見れば会社にとっても、業界にとっても、そしてお客様にとっても最善の選択だと確信しているからです。
実際の訓練の様子や、指導員の方々の熱心な指導、そして訓練生たちの真剣な眼差し。そこには、日本の伝統技術を次世代につなぐという強い想いが感じられました。



大工という産業を残すために
準備も大変でしたが、無事に内容の濃い二日間を終えることができました。この国に「大工」という仕事や産業を残していくことは、私たち工務店の使命であり、同時に業界団体であるJBNの存在意義でもあると思います。かつて、どの地域にも必ず大工がいて、地域の人々の暮らしを支えてきました。家を建て、修繕し、長く住み継げるようにメンテナンスをする。その技術と想いを受け継ぐ若者がいなければ、日本の住文化そのものが途絶えてしまいます。一社だけではできないことも、地域で、そして全国の仲間と連携することで実現できる。今回の視察研修会を通じて、そんな想いを新たにしました。
参加された工務店の皆さんが、それぞれの地域に戻って、今回得た知識や気づきを活かしていただければ、全国で大工の担い手と育成がさらに進んでいくはずです。私たち岡庭建設も、引き続き社員大工の育成に力を入れながら、こうした取り組みを通じて業界全体の発展に貢献していきたいと思います。そして何より、若き大工たちが誇りを持ってこの仕事を続けられる環境を、みんなで作っていきたいと考えています。
全国から足を運んでいただいた工務店の皆さま、本当にお疲れ様でした(全国のお土産もいっぱい・・・笑)。そして、東京大工塾の皆さま、訓練校の関係者の皆さまにも心より感謝申し上げます。これからも、日本の住まいづくりを支える大工という職業の未来のために、できることを一つずつ積み重ねていきたいと思います。
隊長










