空調を考える③ エコアンは“気密性”で効き方が変わる?

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「エアコン1台で家全体を涼しくできますか?」
高気密・高断熱の住まいを検討されている方から、よくいただく質問のひとつです。

エアコン1台で家全体を涼しくできる?

最近では、エコアンのように家全体の空気の流れを考えながら、少ないエネルギーで快適な室内環境をつくる空調の考え方にも関心が高まっています。

ただし、エコアンを入れればどんな家でも同じように快適になる、というわけではありません。

大切なのは、空調機器そのものだけでなく、家の気密性、断熱性、間取り、階段の位置、空気の通り道を一体で考えることです。

見えづらいですが、【ふじまちテラス】では2階のロフト部分にエアコンを設置し、冷たい空気が1階へ自然に降りていくよう、空気の流れを考えた工夫をしています。

冷たい空気は下へ、暖かい空気は上へ

空気には、基本的な性質があります。冷たい空気は下へ下がり、暖かい空気は上へ上がります。この性質を理解しておくと、1階リビングの家と2階リビングの家では、エアコンの使い方や空気のめぐらせ方が変わってくることが分かります。

1階リビングと2階リビングで変わるエアコンの使い方

たとえば1階リビングの場合、夏に1階で冷房をかけると、冷たい空気は下にたまりやすくなります。一方で、2階は日射の影響を受けやすく、暖かい空気も上へ集まりやすいため、2階の個室やホールが暑くなりがちです。
1階だけを冷やしていても、2階まで自然に涼しくなるとは限りません。階段の位置や吹き抜け、ファンの使い方によって、冷気をどこまで届けるか、2階の熱をどう逃がすかを考える必要があります。
例えば、吹き抜けを作ってシーリングファンをつければかなり効率的に家全体に空気を循環させることができます。

反対に、2階リビングの場合は、夏の冷房は比較的効かせやすい面があります。冷たい空気は下へ下がるため、2階でつくった冷気が階段を通じて1階へ降りていくことがあります。ただし、階段の位置がリビングから遠かったり、建具で空気の流れが止まっていたりすると、思ったように家全体へ広がりません。また冬は、暖かい空気が上へ上がるため、1階が寒くなりやすいこともあります。

先日行った「ゼロエミプレイスFUJIMACHI」は1階リビングと2階リビングを同時公開。暑い日のエアコンの効き方を実感していただきました。

階段の位置が、空気の流れを左右する

ロフトへつながる階段上に設置したケース

ここで重要になるのが、階段の位置です。階段は、上下階をつなぐ動線であると同時に、空気の通り道にもなります。

階段が家の中心にあるのか、端にあるのか。リビングとつながっているのか、廊下を介しているのか。吹き抜けやホールとどうつながるのか。

こうした配置によって、エアコンでつくった冷気や暖気の届き方は大きく変わります。

階段上や階段スペースにエアコンを設置する場合は、避難経路や安全性、メンテナンス性を妨げない計画が必要です。建築基準法上の扱いに加え、自治体の火災予防条例や所管行政庁の判断が関わる場合もあるため、設計段階で慎重に確認しながら計画することが大切です。

エコアンを活かすには、気密性が欠かせない

そして、その空気の流れを計画通りに活かすために欠かせないのが、気密性です。家にすき間が多いと、せっかく整えた冷気や暖気が思わぬ場所から逃げたり、外の空気が入り込んだりします。空気を動かしたい場所へ動かすためには、まず余計なすき間から空気を逃がさないことが大切です。

高気密住宅の空調計画では、「どこにエアコンを置くか」だけでなく、「空気がどこを通り、どこへ戻るか」まで考えます。エコアンも同じです。冷気を下へ、暖気を上へという空気の性質を読みながら、階段、吹き抜け、ファン、建具、ガラリなどを組み合わせて、家全体が心地よくなるように計画します。

岡庭建設の家づくりでは、空調計画のスペシャリストであるJIN建築工房の小森 仁さんに設計段階から関わっていただきながら、断熱・気密・空調計画を一体で考える設計提案も可能です。
小森さんは、断熱性や気密性を高めれば、それだけでエアコン1台で家中が快適になるわけではないと発信されています。大切なのは、家に必要な冷暖房の負荷を見極め、必要十分なエアコンを選び、そのうえで暖かい空気・冷たい空気をどう動かすかを設計することです。
設計・施工一体工務店だからこそできる、空調計画と言えます。

高気密住宅の空調計画は、設計と施工で決まる

冷たい空気は下へ下がり、暖かい空気は上へ上がります。だからこそ、1階リビングと2階リビングではエアコンの効かせ方が変わりますし、階段の位置や吹き抜け、建具、ファンの使い方によって、空気のめぐり方も変わります。エコアンを活かすには、機械だけでなく、空気の性質を読み解く設計と、それを実現する気密施工が欠かせません。

エアコン1台で家全体を快適にするには、機械の力だけでは不十分です。断熱性能、気密性能、間取り、階段の位置、そして現場での丁寧な施工。そのすべてがそろって、はじめて空気は思い通りにめぐりはじめます。

「2階が暑い」「1階が寒い」「エアコンをつけても部屋によって温度差がある」。そんな悩みは、空調機器だけでなく、家のつくり方や空気の流れに原因があるかもしれません。エコアンを活かす家づくりとは、空気の性質を理解し、住まい全体で快適さを設計することなのです。

施工例:くろすぎないえ

くろすぎないえ|八王子市

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