東京都既存非住宅省エネ改修促進事業補助金たるものが・・

「隊長の気になるニュース」
隊長IKEDA隊長

皆さん、こんにちは!IKEDA隊長です。

「省エネ」と聞くと、住宅の断熱性能やZEHのお話と思われる方が多いのではないでしょうか。実は隊長も、日々の業務では新築住宅の省エネ性能向上に取り組んでおり、断熱等性能等級6や東京ゼロエミ住宅といったキーワードが頭の中を占めています。
ところが先日、東京都から令和8年度の補助金案内を見て、思わず「これは知らない方が多いのでは」と感じた制度があります。それが「東京都既存非住宅省エネ改修促進事業補助金」なんです。

住宅ではなく、オフィスや店舗、医療施設、福祉施設、学校など「住宅以外の建物」を対象にした、東京都独自の省エネ補助制度!。一般的にこうした制度への関心は住宅分野に集中しがちですが、実はオフィスや商業施設の省エネ改修は日本全体でも大きく遅れているのが現状です。そういう意味でも、今回はこの東京都独自の制度をご紹介いたします。

この補助金、何のためにあるんだろう・・?

東京都は、2030年カーボンハーフ(2000年比で温室効果ガス50%削減)を目指し、さらにその先の2035年までに60%以上削減という意欲的な目標を掲げています。
家庭のエネルギー消費は日本全体の約15%程度といわれていますが、業務部門(オフィスや商業施設など)はそれと同等かそれ以上のシェアを占めます。にもかかわらず、既存の非住宅建物では省エネ改修が進んでいないのが実態。この補助制度は、そのギャップを埋めるために東京都が設けたものです。隊長が感じるのは、こうした制度が「住宅」と「非住宅」をきちんと分けて整備されてきている点です。対象建物の用途・規模に応じた支援を丁寧に設計しているところに、行政の本気度を感じますね。

おかにわ建設のオフィス改修例(木ノベ オフィス)

おかにわ建設のオフィス改修例(木ノベ オフィス)

対象はどんな建物?

まず対象者から確認しておきましょう。
この補助金の対象は、中小企業者、個人事業主、学校法人、社会福祉法人、医療法人、NPO法人など、いわゆる中小規模の事業者です。大企業は対象外となっています。
建物の要件は次の通り。

◯住宅以外の建築物(オフィス、店舗、病院、学校、福祉施設など)
◯都内で所有しているもの
◯延べ床面積が10,000㎡以下のもの
◯省エネ改修の場合は加えて、耐震性が確保されているもの

「住宅以外」とありますが、正確には「一戸建て住宅・兼用住宅・長屋・共同住宅以外の建築物」が対象。事務所ビル、商業施設、診療所、認可保育園、学習塾、ちいさなホテル・・こうした建物をお持ちの事業者の方々が対象になるんです。

補助の内容は3段階

この補助制度のユニークな点は、省エネ化のプロセスを「①診断」「②設計」「③改修」の3段階に分けて、それぞれに補助が出る点ですね。

① 省エネ診断(補助率:対象経費の2/3、上限なし)
まず現状把握から。設計図や現地調査をもとに現在の省エネ性能を確認し、改修の方向性を検討するための診断費用が対象です。改修前のBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の評価取得費用も含まれます。※BELSとは、建物の省エネ性能を★の数で客観的に示す国の表示制度です。「この建物はどのくらい省エネなのか」を数字で把握できる重要な指標。

② 省エネ設計(補助率:対象経費の2/3、上限なし)
省エネ改修を行うための調査・設計・計画策定にかかる費用が対象です。見積取得や工務店選定のための事務費用も含まれるのは、現場感覚からすると「痒いところに手が届く」設計だと感じます。

③ 省エネ改修(補助率:対象経費の23%)
実際の改修工事への補助です。上限額は建物の規模と改修後の性能水準によって異なります。

省エネ基準相当まで向上する場合:建物全体の床面積 × 5,600円/㎡
ZEB水準相当まで向上する場合:建物全体の床面積 × 9,600円/㎡

対象となる工事は、窓・サッシの交換、外壁・屋根の断熱化、空調・換気・照明・給湯設備の効率化、蓄電池の設置などです。手軽に取り組める内窓の設置も対象に含まれています(ただし遮熱塗装や窓フィルムは対象外)。
なお、①②③はそれぞれ別々に申請することもできますし、他の補助制度と組み合わせることも可能です。たとえば「診断はこの制度、改修は別の国の補助金を使う」といった柔軟な活用ができます。

全体改修と部分改修、どちらでもOK

「建物全体を改修しないと使えないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。でも、この制度は部分改修でも補助対象になるんです。
テナントビルの場合、退去したテナントの区画だけをレベルアップして新たに貸し出す、といった使い方もできます。また、大規模修繕工事のタイミングに合わせて、屋上防水を断熱防水に変更したり、空調設備を更新したりすることで、より効率的に省エネ化を進めることができます。一棟丸ごとの大工事でなくても、できるところから始められるこの柔軟さが、中小事業者にとっては現実的でありがたいところですね。

絶対に知っておきたい「申請の順番」

ここが最も重要なポイントです。建築の補助金にはよくあることですが、この補助金は「工事の契約前」に交付申請をする必要があります。
すでに省エネ診断や設計の契約を済ませてしまった場合は、この補助金の申請ができません。「改修しようと思って業者に声をかけたら、あれよあれよと契約書を書いていた」——そういう方が補助金を使えなかったというケースは、決して珍しくありません。
順番は必ず、①交付申請 → ②交付決定 → ③契約・工事等の実施です。
気になる方は、まず東京都防災・建築まちづくりセンター(03-5989-1938)に事前相談することをお勧めします。事前相談は任意ですが、受付時間内であれば窓口に問い合わせることができます。

受付期間と申請先ほか

交付申請の受付期間:令和8年4月1日(水)〜 令和9年3月31日(水)
申請先は以下の通りです。

公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター
〒160-8353 東京都新宿区西新宿七丁目7番30号
小田急西新宿O-PLACE 3階 建築審査部 建築性能課 7番カウンター
電話:03-5989-1938(平日 9:00〜17:00)

申請様式や募集要領は、東京都建築物脱炭素化ポータルサイト「東京でかぽ」からダウンロードできます。予算額に達した時点で受付終了となりますので、ご関心のある方はお早めに動かれることをお勧めします。

今回この制度を改めてきちんと読み込んで、「こういう補助金が都にあることを知らずにいる中小事業者が、まだまだたくさんいるんだろうな」と感じました。
特に、診断費用や設計費用への補助率が3分の2・上限なしという設定は非常に手厚い!。「まず現状を知る」「次に計画を立てる」というプロセスを行政がしっかり支援しているのは、省エネ改修の入口のハードルを下げる上で大切な考え方だと思います。

住宅の省エネ性能向上と並行して、地域の事業者の建物が少しずつ脱炭素化されていくこと——それが積み重なって、まちとしての環境負荷が下がっていく。住まいづくりに携わる者として、「建物と環境」というテーマはどこまでも切り離せないと感じています。
ご自身のオフィスや事業所の省エネ改修をお考えの方、あるいは「うちは対象になるかな?」と思われた方は、ぜひ一度お問い合わせされてみてくださいませ。m(_ _)m

隊長

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