円滑な木造応急仮設住宅建設へ/全木協東京

「おかにわ建設」のこと
隊長IKEDA隊長

皆さん、こんにちは!IKEDA隊長です。

先日、隊長が会長を務める全木協東京都協会の第15回総会が、けんせつプラザ東京(新宿区北新宿)で開催されました。全木協(一般社団法人 全国木造建設事業協会)は、災害で住まいを失われた方々に「木造の応急仮設住宅」を建設してお届けするための団体です。

振り返れば、東京都と災害協定を結んだのが2013年7月。あれから13年、そして私が東京都協会の会長を担わせていただいて15年目の節目の年となりました。

そもそも全木協(全国木造建設事業協会)とは何か

全木協(一般社団法人 全国木造建設事業協会)とは、災害時に木造の応急仮設住宅を迅速に建設・供給するために、全国の工務店ネットワークであるJBN・全国工務店協会と、職人の組合である全国建設労働組合総連合(全建総連)が母体となって2011年9月に設立された団体です。東日本大震災で福島県を中心に約1,000戸の木造応急仮設住宅を建設した経験が、その出発点になっています。その東京の団体が「全木協東京」でもあります。

仮設住宅というと、整然と並ぶプレハブの姿を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれども、地域の職人さんの手で建てる木造の仮設住宅には、木のぬくもりがあり、暮らしに寄り添う温かさがあります。全木協はこの13年余りで、2016年の熊本地震で563戸、そして2024年元日の能登半島地震では要請に基づき木造応急仮設住宅623戸・談話室6戸を建設してきました。全国で災害協定を結んだ自治体は、2026年時点で43都道府県・11政令指定都市にのぼります。

↑2026年7月10日、けんせつプラザ東京で開かれた第15回総会

第15回総会は・・・

第15回総会は、昨年度の取り組みの総括と次年度の方針を確認する場として、次第に沿って進行。全木協東京都協会は、東京都連とTBN(東京ビルダーズネットワーク)で構成されており、東京という巨大都市の「もしも」に備えるための、地域の工務店の集まりです。

総会に続いて、この日は二つの学びの時間を用意。ひとつは東京都からの特別講演、もうひとつは能登の現場に立った方からの特別報告です。首都直下地震が現実味を持って語られる今、行政の準備と現場の実感の両方を一日で共有するのが近年の総会のあり方。

↑昨年度の総括と次年度方針を確認した第15回総会の会場

「東京都の木造応急仮設住宅建設に向けた準備状況」

続く特別講演では、東京都 住宅政策本部 住宅企画部の担当課長より、「東京都としての木造応急仮設住宅建設に向けた準備状況」と題してお話をいただきました。テーマは「東京都の最近の動向と発災時の取り組み」。首都直下地震が起きた際、東京では膨大な数の仮設住宅が必要になると想定されており、その供給体制をどう重層的に整えていくかは、行政にとっても私たち建設側にとっても正面から向き合わなければならない現実です。

行政の準備状況を、担当課長ご本人の言葉で直接うかがえる機会はそう多くありません。「協定を結んで終わり」ではなく、実際に発災した瞬間にどう動くのか・・その一点を、都と団体が同じ目線で確認できたことに大きな価値があったと思います。

↑東京都 住宅政策本部 担当課長による特別講演の様子

「能登半島地震における仮設建設現場監督から」

特別報告では、能登に支社を置く工務店の次長執行役員(現場監督)より、「令和6年能登半島地震・能登半島豪雨 応急仮設住宅建設について 、現場監督としての経験」と題した、現場からの生々しい報告がありました。全木協が能登で建設した木造応急仮設住宅は623戸。その一棟一棟の裏側で、現場監督がどんな困難と向き合っていたのかを、当事者の口から聞くことができました。

制度や体制の話は、ともすれば机上の議論になりがちです。けれども、実際に被災地に入り、資材も人手も限られる中で住まいを立ち上げていく現場の話は、何より説得力があります。実際に完成した木造の仮設住宅を見ると、プレハブとはひと味違う、木のぬくもりと落ち着きが伝わってきます。この報告を通して、次に東京で発災したときに私たちが何を準備しておくべきか、参加者一人ひとりが自分事として持ち帰ることができたのではないかと思います。

↑能登の現場を担った工務店の現場監督による特別報告

↑能登に完成した木造の応急仮設住宅。地域の職人の手による、木のぬくもりある住まい

5年ぶりの再会?専修大学・佐藤先生とのご縁

そしてこの日は、もう一つ嬉しい出来事が・・。5年前に基調講演をいただいた専修大学 ネットワーク情報学部の佐藤慶一教授が、総会にお越しくださいました!。佐藤先生は「首都直下地震時の仮設住宅不足への対応準備」を長年研究され、東京都へ政策提案もされてきた、この分野の第一人者でいらっしゃいます。

今回のきっかけは、この春にNHKのニュースで私たちの取り組みが共に取り上げられたことでした。放送をご覧になった佐藤先生から、「その後の取り組みをぜひ学びたい」と連絡いただき、こうして総会にお越しくださいました。当日は基調講演に加え、幅広い意見交換も行われました。研究者としての知見と、私たち現場を担う工務店の実感が交わる時間は、本当に刺激的なものでした。こうしたご縁が一度きりで終わらず、5年という時を経て再びつながっていくこと、これは本当に嬉しかったですね。

↑2021年7月時の佐藤先生の基調講演

地域の工務店だからこそ担える役割

私たち岡庭建設は、この全木協東京の活動に長く関わってきました。私自身、東京都協会の会長として、岡庭建設として、そしてJBN・全国工務店協会の副会長として、地域の中小工務店の視点を災害への備えの議論に届け続けることを、大切な務めだと考えています。

大規模災害への備えは、大きな企業だけで完結するものではありません。いざというとき、地域を知り、木を扱い、職人とつながっている地元の工務店の力が、被災された方の暮らしの再建を支えます。日々の家づくりで培った技術が、そのまま「もしも」のときの備えになる・・そのことを、私たちは大切にしたいと思います。

災害協定は、結んだ瞬間がゴールではなく、そこからが始まり。13年間、毎年の総会で準備状況を確認し、現場の経験を共有し、研究者の知見に学び続けてきたからこそ、いざというときに動ける体制が保たれています。また、日々、工務店の仲間と顔を合わせ繋がっていることが有事の際の初動につながると信じています。目立たない積み重ねかもしれませんが、この地道な備えを続けていくことこそ、地域に根ざす私たちの役割なんですね。

隊長

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