空家を介して街の力に変える!
皆さん、こんにちは!IKEDA隊長です。
先日東京の工務店業界団体の総会が開催されたことと一つの発表をいたしました。
それは、隊長が副会長を務めますJBN全国工務店協会(以下、JBN)の東京連携団体、TBN(東京ビルダーズネットワーク) が、この度、東京メトロ都市開発株式会社 と空き家事業等における連携の発表です。発表の場は、6月11日に開催されたTBNの年次総会。東京の工務店仲間が一堂に会したその場で、大切なパートナーシップの第一歩を踏み出すことができました。
実は東京メトロさんとの出会いは、昨年、東京都主催の「空き家セミナー2025」でのことでした。私が長年取り組んできた空き家活用の発表と東京都のセミナーで講演させていただき、その際にご縁をいただきました。「地域の空き家を活かして街を活性化する」というビジョンが近しいと感じ合う中で、「せっかくなら、東京の工務店仲間と共に取り組んでいこう!」という話になったんです。
大きな企業とのコラボと言うと少し緊張感もありましたが(笑)、共通するのはシンプルな思いです。「空き家を、街の力に変える」。その一点です!。

東京の空き家は今、どんな状況にあるのか
まず、数字から改めてお伝えすると。
総務省が5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」の2023年版(令和5年)によると、全国の空き家数は約900万戸 と過去最多を更新しました。1993年からの30年間で実に約2倍にのぼる増加です。そして東京都は、空き家率こそ全国で見ると低い水準ですが、空き家の「数」では全国第1位。都内の空き家は約90万戸 にのぼり、全国の1割を東京だけで占めている状況。
「空き家が少ない東京」というのは、半ば幻想と言ってもいいかもしれません。東京23区だけでも空き家数は64万戸を超え(2023年、過去最多)、数として見れば日本で最も多くの空き家を抱えているのが東京という都市なのです。消滅年も東京でも発生するとも言われていますし・・。
そして、住宅の供給に比べて世帯数の伸びが鈍化してきているこれから、さらにこの数は増え続けると予測されています。特に気になるのは「賃貸や売却が見込まれない放置型の空き家」の増加です。老朽化が進み、景観の悪化、防犯・防災上のリスク、資産価値の下落?・・・放置されることで、家一軒の問題がやがて地域全体の問題へと広がっていく。これは、私たちが20年近くこの課題に向き合ってきた中で感じてきたこと。


岡庭建設が歩んできた「空き家」活用とは
岡庭建設は西東京市を拠点として55年以上、この地域で家づくりに向き合ってきました。その中で、空き家という課題が身近に迫ってきたのは、もう随分前のことです。
2018年頃から岡庭建設が発起人の一人となり、西東京エリアの空き家課題に取り組む市民活動「ウェスト東京アキヤラボ(通称:アキヤラボ)」を立ち上げました。地域の不動産会社・飲食店・農業・メディア・タクシー会社・工務店という多彩なメンバーが集まり、「空き家を問題化するのではなく、魅力化する」という視点で活動を続けてきました。空き家バンクへの登録支援、シンポジウムの開催、所有者と借り手のマッチング・・工務店だけで完結できることは実は少なくて、地域のさまざまな人たちが関わってはじめて空き家は動き出す、ということを実感してきた取り組みです。
そして、岡庭建設では具体的な施工でも空き家活用に向き合ってきました。
西東京市・るるん助産院さんのお手伝いでは、空き家だった建物を助産院として再生。地域に「産む・育てる」の場が生まれました。
東村山市では、隈研吾建築都市設計事務所・ウチノ板金さんと共同で、空き店舗だった建物を「和國商店(わくにしょうてん)」としてリノベーション。この事例は、東京都が2026年に初めて開催した「空き家リノベーションコンテスト2025」のベストプラクティス部門に選出されました。あの場で東京メトロ都市開発さんと再びのご縁をいただいたことが、今回の連携発表にもつながっています。

「大きな企業×地域工務店」連携に感じる可能性
今回、東京メトロ都市開発さんとのお話をいただいたとき、正直なところ「なぜ工務店と?」という驚きもありました。東京メトロさんといえば、誰もがご存じの「営団地下鉄」から続く公共交通の基盤を支えてきた企業です。その都市開発部門が、地域の空き家課題に向き合おうとしている。そして、パートナーとして東京の工務店集団TBNにも声をかけてくださった。
これが意味することは、大きいと思います。
空き家の問題は、不動産の問題であると同時に、「まちのあり方」の問題です。駅と商圈と住宅が一体として機能している街において、使われなくなった家や店舗が増え続けると、その街全体の魅力が落ちていく。それを食い止めたい、という思いは、実は私たち地域工務店と、インフラを担う大企業が、同じ方向を向いている証拠だと感じています。
工務店には、現場力があります。建物の構造を見抜く目、地域の職人との連携、住まい手の暮らしに寄り添うきめ細かさ。大きな企業にはあまりない「地に足のついた実行力」が、私たち工務店の強み。反対に、地域工務店だけでは難しい「広域的なネットワーク」「情報発信力」他を、大企業と連携することで補い合える。この組み合わせに、新しい可能性を感じています。

空き家は「問題」ではなく「資源」
ここで少し、隊長の持論を。
空き家は、ただ古くなって誰も使わなくなった建物、ではありません。その建物には、かつて誰かが暮らした記憶があり、地域の歴史があり、土地の文脈があります。それを丁寧に読み解いて、今の時代のニーズとつなぎ合わせたとき、空き家はあっという間に「街の魅力」に変わります。
「和國商店」がそうでした。使われなくなった空き店舗が、地域の人が集まる憩いの場に生まれ変わった。るるん助産院がそうでした。住まわれていないいわゆる空き家に、赤ちゃんの産声が戻ってきた。
そして、アキヤラボが支援してきた「どんぐり」もそうです。西武新宿線・田無駅から徒歩5分の住宅街で、長年お隣に住んでいたすまいが空き家となってしまった。一戸建てを、地域の市民活動家が引き継ぎ、多世代交流・地域の居場所として開いた場所です。孤食をしないでみんなで食べたり、演芸を楽しんだり、子どもの声も聴こえる。そんな空気を地域に取り戻したいという思いから生まれた場所で、アキヤラボのマッチング活動がそのきっかけのひとつになりました。工務店が直接施工するだけでなく、こうして「人と建物をつなぐ」役割を果たすことも、私たちの大切な仕事だと感じています。
発想と技術と人のつながりがあれば、空き家は「問題物件」ではなく「地域の宝」になります。私はこれを、長年の経験から確信しています。
西東京市では今後も、少子高齢化による人口構造の変化、相続によって所有者が変わる建物の増加などを背景として、空き家はさらに増加することが見込まれています。西東京市も「西東京市空き家等対策計画」を策定し、予防・適正管理・利活用という三本柱で取り組みを進めていますが、行政だけでは対応に限界があります。だからこそ、地域に根を張る工務店が、不動産・行政・企業・住民と連携して、現場から動き続けることが大切だと感じています。

地域工務店として、「空き家と街」に関わり続けます
岡庭建設では、新築住宅はもちろん、リノベーション、不動産、メンテナンスという複合的な機能を持ちながら、「くらしづくり」を軸に地域とともに歩んできました。空き家への取り組みは、その延長線上にある、ごく自然な活動です。
今回のTBN×東京メトロ都市開発の連携は、まだスタートラインに立ったばかりです。これからどんな具体的な動きが生まれるか、まだ見えていない部分も正直あります。でも、「空き家を街の力に変えたい」という共通の志があるかぎり、きっと面白いことが起きると確信しています。
もし、「自分の実家が空き家になりそう」「引き継いだ建物をどうしたらいいかわからない」「古い建物を活用したいアイデアがある」という方がいらっしゃれば、ぜひ岡庭建設にご相談ください。建物の状態を見極めて、活用の可能性を一緒に考えることが、私たちの得意とするところです。
空き家が増え続ける時代に、地域工務店として何ができるか。その問いに向き合い続けながら、これからも取り組んでいきます。
隊長
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