建設労働者団体で講演/全建総連

「隊長の活動他」のこと
隊長IKEDA隊長

皆さん、こんにちは!IKEDA隊長です。

先日、神奈川・建設プラザかながわにて開催された、全建総連(全国建設労働組合総連合)さんの「第66期 学習会」にて、特別講演をさせていただきました。全建総連さんは、国内で最も大きな労働者団体で全国で60万人程の組合です。岡庭建設も55年前に大工業から始まっていますので、今でも東京の同組合、建設ユニオンに所属しています。

さて、テーマは「工務店の地域貢献活動と、CCUS(建設キャリアアップシステム)活用の取り組み」。この二つを、いただいた60分の中でお話しさせていただきました。正直なところ、二つのテーマで60分というのは、すべてをお伝えするにはまったく時間が足りず・・・笑。それでも、可能な限り弊社の取り組みについてお話しいさせて頂きました。参加者は全国の組合の部門長100名程。2日間に渡り学習会と併せ意見交換会が行われるそうです。*会場は東神奈川ですが、初めて訪れる場でもあります。

なぜ「労働者の集まり」で、工務店の話を

全建総連さんは、その名のとおり、全国の大工さんや職人さんといった「働く人」が中心の団体です。一方の隊長たちは、大工工務店から総合建築を手掛ける工務店という「会社」としての立場。立場は違えど、向き合っている課題は驚くほど共通しています。

職人の高齢化、若い担い手の不足、技術の継承。これは労働者の問題であると同時に、私たち工務店の存続そのものに関わる問題でもあります。だからこそ今回は、「一つの工務店がこの55年あまり、何を考え、何に取り組んできたか」を、皆さんの参考の一つとしてお話しさせていただきました。

そもそも、地域工務店の役割とは

講演の前半は、「地域貢献」についてお話ししました。

ただ、ここで言う地域貢献とは、何か特別な慈善活動のことではありません。私が30年あまりこの会社で考え続けてきたのは、もっと素朴な問いです。「地域に根ざした工務店の、本当の役割とは何なのか」という問いです。

家を建てて、お引き渡しをして、それで終わり。もしそれだけなら、私たちが地域にいる意味はないと思っています。家は建てた瞬間が完成ではなく、そこから何十年もの暮らしが始まります。修繕しつつ、子どもの成長に合わせて間取りを変え、やがて次の世代へと住み継いでいく。その長い時間に寄り添い続けられるのは、その土地に居続ける地域工務店だからこそ、なのだと思っています。そうした想いから岡庭建設が続けてきた取り組みとして、まずは「家づくり学校」についてご紹介しました。2008年に始めたこの取り組みは、おかげさまで20年近く続いてきました。家を売るための場ではなく、住まいや暮らしのことを地域の皆さんと一緒に学ぶ場として開いてきたものです。

そのほかにも、地域のお祭りへの参加や、最近では「クラテクマルシェ」のような、ものづくりと暮らしをつなぐ催しについてもお話ししました。一見すると家づくりとは直接関係のないように見えるこれらの活動も、私の中では「地域の暮らしを豊かにする」という一本の軸でつながっています。会社の理念にも掲げている、「輪」を築き地域の暮らしを豊かにする、その実践そのものなのだと、あらためてお伝えしてきました&毎年恒例の「住まい手忘年会」のことも。最近はとにかく、地域工務店としての取組についてお話してほしいとの依頼が多くあります。

「社員大工」と、CCUSという物差し

講演の後半は、CCUS(建設キャリアアップシステム)と、それを活用した私たちの「社員大工制度」についてです。

ご存じない方のために少しだけご説明すると、CCUSとは、技能者一人ひとりの資格・社会保険の加入状況・現場での就業履歴などを、業界横断的に登録・蓄積していく国の仕組みです。技能や経験が正しく評価され、適切な処遇につながっていくことを目指しています。国土交通省のデータによれば、2026年3月末時点で技能者の登録は181万人、事業者は30.9万社にのぼり、いまや業界のインフラと言える存在へと育ってきました。

岡庭建設では、大工を外注の協力会社にお願いするのではなく、「自社の社員」として雇用し、育てています。建築業界では決して多数派ではない選択ですが、2008年から続けてきた、私たちの大きな柱の一つです。そして、その社員大工たちはCCUSに登録し、経歴も技能レベルも「見える化」しています。さらに、それだけでは測りきれない部分を補うために設けているのが、自社独自の「おかにわ大工マイスター制度」です。

これは、大工一年生から一人前の棟梁になるまでの道筋を段階的に評価していく仕組みで、「自分はいま何ができて、次は何を身につけるべきなのか」。それが本人にはっきりと見えることで、若い大工も目標を立てやすくなります。CCUSという業界共通の物差しと、自社ならではの育成の物差し。この二つを組み合わせているところが、私たちの工夫しているポイントだと、力を込めてお話ししてきましたし、全国の方々から共感いただけました。ぜひともパクってください・・・笑

CCUSのよいところは、就業履歴が会社の垣根を越えて積み重なっていく点にもあります。一社だけで技能者を抱え込むのではなく、業界全体で職人さんの歩みを支えていける。そんな連携の可能性についても、皆さんに向けてお伝えしました。

「飛び込みたい」と思える業界へ

講演で最もお伝えしたかったのは、この点でした。若い人が「この業界に飛び込みたい」と心から思える環境をつくらなければ、日本の家づくりそのものが続いていかないと考えます

ありがたいことに、昨年はNHKの「クローズアップ現代」で私たちの取り組みが、今年4月にはNHK「サタデーウオッチ9」でも社員大工と耐震等級3の家づくりが取り上げられました。講演では、その放送の内容や、実際に現場で生き生きと腕をふるう大工たちの姿もご紹介しました。図面が形になっていく瞬間に立ち会えること、自分の手の跡が何十年も家に残ること、大工という仕事には、本来そういう確かな誇りがあります。その魅力を、きちんと次の世代へ手渡していきたいです。

岡庭建設は今年3月、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言(職人いきいき宣言)」も行いました。地域貢献も、社員大工の育成も、CCUSの活用も、突き詰めれば「働く人と、地域の暮らしを大切にしたい」という、同じ想いから生まれています。

60分はあっという間で、語り尽くせなかったことも正直たくさんあります・・笑。それでも、講演後に何人かの方が声をかけてくださり、「一つの工務店の歩みが、これからの建設業を考えるヒントになった」と言っていただけたことは、大きな励みになりました。

お招きいただいた全建総連の皆さま、そして熱心に耳を傾けてくださった参加者の皆様に私たちの取組から得るものがあったなら幸いです。

隊長

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