木造応急仮設住宅講演の後に・・

隊長IKEDA隊長

皆さん、こんにちは!IKEDA隊長です。

お盆休み如何お過ごしでしょうか。
岡庭建設は、本日8月9日(日)〜16日(日)までお盆休みとなります。m(_ _)m

そのお盆前の7月26日、建設職人団体・首都圏建設ユニオンさんの後継者対策研修会にお招きいただき、「災害時の取り組みから学ぶ、後継者世代に求められること~今からでもできる準備~」と題して講演をさせていただきました。全木協(全国木造建設事業協会)東京会長、そしてJBN・全国工務店協会副会長という立場から、災害時の木造応急仮設住宅づくりについてお話ししたのですが、その2日後、まさかこのテーマの重さを現実として突きつけられることになるとは、このときは思いもよりませんでした(2026年8月8日時点の情報です)。今回は、当日の主な内容と、その直後に起きた出来事についてです。

 

首都圏建設ユニオンの後継者対策研修会でお話ししたこと

今回の講演は、組合内の後継者世代に向けた勉強会。首都圏建設ユニオンさんは、全建総連(全国建設労働組合総連合)に加盟する労働組合で、建設に携わる職人・一人親方の皆さんが数多く所属されています。会場には、これから会社や現場を背負っていく若手・後継者の方々がびっしりと集まってくださっていて、その真剣な眼差しに、こちらも背筋が伸びる思いでした(と同時に、しっかりお伝えしなければという緊張感も・・・笑)。

↑首都圏建設ユニオンの後継者対策研修会

お話しした内容は、全木協東京会長としての活動と、私が副会長を務めるJBN・全国工務店協会の取り組み、そして建設職人の皆さんに求められることを併せてお伝えする、というものでした。

全木協(全国木造建設事業協会)とはどんな団体か

全木協とは、一般社団法人全国木造建設事業協会の略称で、東日本大震災の直後、2011年9月1日に設立された団体です。正会員は、日本最大級の地域工務店団体であるJBN・全国工務店協会(会員数約3,000社)と、日本の建設産業で最大の労働組合である全国建設労働組合総連合・全建総連(組合員数約62万人)の2団体。つまり全木協は、「工務店」と「建設労働者」という、家をつくる両輪が手を組んでいる団体なんです。

災害で住まいを失った方には、応急仮設住宅が提供されます。これは原則として災害発生から20日以内に着工し、主に6坪・9坪・12坪といったタイプが用意される仕組みです。東日本大震災までは、こうした仮設住宅の建設は都道府県と協定を結んだ大手系しか担うことができませんでした。そこで全木協は、被災者の居住性が高い木造の仮設住宅を届けられるよう、全国の都道府県・政令指定都市とひとつずつ災害協定を積み重ねてきました。2024年7月時点で、43都道府県・11政令指定都市との協定締結が完了しています。

また、被災地では大工さんの人手が足りなくなることも少なくありません。そこで全建総連は、職業安定法第45条に基づく「労働者供給事業」という仕組みを使い、全国の組合員である大工・職人を被災地に派遣しています。地域の木材や資材を使い、地域の工務店・職人が施工することで、被災地にお金が落ち、経済的な復興支援にもつながる。これが全木協の仕組みの大きな特徴です。

東日本大震災から大船渡の山林火災まで、積み重ねてきた実績

全木協はこれまで、数多くの災害現場で木造応急仮設住宅を建設してきました。2011年の東日本大震災(いわき市・田村市など)を皮切りに、2016年の熊本地震(南阿蘇村など)、2018〜2019年の西日本豪雨・台風19号(愛媛・広島・岡山・長野)、2020年の熊本豪雨(人吉市・球磨村など、木造比率92%)、2024年の能登半島地震(輪島市・珠洲市など、市町営住宅への転用も見据えた「まちづくり型」の長屋を整備)、同じく2024年の山形県豪雨(戸沢村・鮭川村、県産スギを使用)、そして2025年の岩手県大船渡市の山林火災(当初予定40戸のすべてを全木協が受注)と、実に14年にわたって被災地に木の家を届け続けてきました。

こうした実績を振り返るたびに感じるのは、「災害のとき、被災地で最初に暮らしを建て直すのは、地域の工務店と職人の手だ」ということです。特別な誰かではなく、普段どおりの仕事をしている大工さんや地域工務店の技術こそが、被災した方々の暮らしを支えている。この事実は、何度確認しても誇らしく思います

ワークショップでの後継者世代の姿

講演のあとには、参加者による有事の備えについてのワークショップも行われました。「自分たちの地域で災害が起きたら何が必要か」を各グループで議論し、発表していただいたのですが、若い世代の皆さんが真剣に意見を出し合う姿を見て、この仕組みを次の世代にしっかり引き継いでいく責任を、改めて感じました。

↑ワークショップで議論する後継者の皆さん

講演の2日後に起きた、令和8年熊本地震

そして、この講演からわずか2日後の7月28日16時27分、熊本県で最大震度7を観測する地震が発生しました(令和8年熊本地震、マグニチュード7.1)。熊本県宇城市と八代郡氷川町で震度7を観測し、有明海・八代海には津波注意報も発表されました。全国では2024年1月の能登半島地震以来2年6か月ぶり、熊本県内では2016年の熊本地震以来10年3か月ぶりの震度7とのことです。熊本地震から10年の節目の年に、みたび大きな地震が発生したことに、大変驚いています。被災された皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。

現在、私が役員を務めるJBNと、首都圏建設ユニオンさんの親団体でもある全建総連が連合する全木協が主体となって、熊本での木造応急仮設住宅の建設が進められています。熊本県の発表によると、8月3日、宇城市と氷川町で最初の建設工事に着手しました。発災からわずか6日というスピードで、報道でも「発災から過去最短」の着工と伝えられています。これまで10年の間に豪雨災害なども含めて幾度も災害を経験してきた熊本だからこその、迅速な対応だと感じています。

現地の工務店の方とも話をしましたが、被災地では住宅への大きな被害も出ており、まだまだ大変な状況が続いています。そうした中で、地域の工務店と建設労働者の皆さんが、いつものように、しかし誰よりも早く現場に立っている。この件については、改めて詳しい経緯や現場の様子を、追ってコラムで書きたいと思います。

↑能登の木造応急仮設住宅(こちらも全木協にて)

東京で発災したときのために、今できる備え

正直なところ、講演をしていた当日は、東京でいつ災害が起きてもおかしくない、というところまで実感が及んでいたわけではありませんでした。ですが、その2日後に熊本で起きたことを知り、改めて身の引き締まる思いになりました。全木協東京でも、毎年7月頃の総会や仮設モデルの講習会、DXを活用した平時の連絡体制づくりなど、有事に備えた活動を続けています。技術を磨くこと、組合や協会を通じて仲間とつながること、災害協定や労働者供給事業といった仕組みを知っておくこと、そして講習会や被災地支援に自ら手を挙げること。この4つが、後継者世代に求められることだと、隊長は考えています。

岡庭建設としても、こうした業界団体の活動を通じて得た知見を、地域の皆さまの安心につなげていくことが、家づくりに携わる者としての役割のひとつだと感じています。制度や仕組みが整っていても、それを動かすのは結局、平時から技術を磨き、仲間とつながり、いざというときに手を挙げる人の存在です。次の被災地で最初の一棟を建てるのは、後継者世代のあなたかもしれない。そう思いながら、隊長自身も今日からできる備えを続けていきたいと思います。

隊長

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