木造4階建賃貸(共同)住宅完成/中野区

高性能賃貸住宅
隊長IKEDA隊長

皆さん、こんにちは!IKEDA隊長です。

現在中野区で、木造耐火4階建ての賃貸住宅が最終工事の段階に入っています。見学会のご案内は岡庭建設のお知らせページに掲載しておりますので、そちらをご覧いただくとして、このブログでは少し違う角度から。「木造で4階建て、しかも耐火建築物」というのは、どの様な木造建築なのか・・今回隊長はここに絞ってお伝えしますね。

↑木造でありながら4階建て。外からは木造とわからない佇まいになってしまいますが・・・
でも一部外壁に木材も。

木造耐火4階建てとは何か/なぜ4階から耐火建築物になるのか

木造耐火4階建てとは、柱・梁・床・壁といった構造の主要部分を木でつくりながら、それを耐火被覆で覆うことで建築基準法上の「耐火建築物」として成立させた4階建ての建物のことです。

なぜ4階から厳しくなるのか。理由はひとつではないのですが、まず建築基準法で、地階を除く階数が4以上、または高さ16mを超える木造等の建築物には、特定主要構造部を耐火構造とするなどの高い防耐火性能が求められます。次に共同住宅は特殊建築物ですので、3階以上の階を共同住宅の用途に供する場合、同じく特定主要構造部に所定の性能が要求されるんです。さらに防火地域なら階数3以上または延べ面積100㎡超、準防火地域なら地階を除く階数4以上または延べ面積1,500㎡超という区分もあります。東京の市街地で4階建ての共同住宅を計画すると、この三つのいずれかが該当してきます。法律は人命及び財産等の保護が大前提ですから。

ちなみに3階建てまでであれば、規模や避難関連の条件しだいで1時間「準耐火構造」等での計画も可能です。耐火と準耐火は「準」の一文字違いですが、法律や建築的対応は4階になった瞬間に世界が変わるものなんです。なんのコッチャかもしれませんが・・笑

木造で「耐火構造」「準耐火構造」とは?

木造の耐火構造には大きく三つの考え方があります。強化せっこうボードなどで木を連続的に覆うメンブレン型、木材そのものに燃え止まり層を設ける燃え止まり型、そして内部の鉄骨を木で覆う鉄骨内蔵型です。私たちが4階建ての共同住宅で採用しているのはメンブレン型で、いわば燃えないもので木を包み込むという考え方が主流です。

ここは準耐火建築物との違いが分かりやすいところです。準耐火であれば、柱や梁の表面が一定寸法燃えても構造上支障がないことを確認する「燃えしろ設計」で、木を現しにすることができます。一方の耐火建築物は、火災が終了した後も消防活動によらず建物が倒壊せず自立し続けることが求められる、もっとも高い水準です。要求される耐火時間は、壁(耐力壁)・柱・床・はりについては最上階から数えた階数で決まり、1〜4の範囲であれば1時間。屋根と階段は階数によらず30分必要です。つまり4階建てであれば、全体を1時間耐火で計画できるということになります。

↑木を「包む」ことで耐火構造が成立します。写真は包み込む前

↑重量もあるので、土台も5寸!と太い

木造耐火建築の設計は技術力を要します

木造耐火の設計で最も気を使うのは、実は壁や床そのものではなく、被覆が途切れる場所です。

サッシまわり、配管やダクトの貫通部、最下階の床、バルコニーの取合い、天井と壁のジョイント。ここに1箇所でも穴が空けば、そこから壁の中に火が入り込んでしまいます。給水管・配電管の貫通部についても材質やあり方まで法律や認定等で定められています。

確認申請でも、部位ごとの構造詳細図(いわゆる耐火リスト)の添付が必要になります。図面を描く側からすると、平面や意匠を考える時間と同じくらい、この納まりを詰める時間がかかるのです。正直なところ、木造の2階や3階のようにすんなりと計画できるものではありません。法定要素と耐火の技術要素、これらを計画内容とMIXさせながら成立させる必要があるため、それなりの時間を必要とします。*弊社でも計画は有料となります。

木造耐火は、誰でも設計・施工できるわけではありません

木造軸組工法で1時間耐火構造とする場合、国土交通省告示仕様によるか、国土交通大臣認定を使うことになります。後者を使う場合、大臣認定関連の講習を受講し修了登録者であることが条件で、大臣認定書(写し)は物件1棟ごとに発行されます。そのうえ、所定のチェックリストによる工事自主検査と、進捗報告・確認済報告・工事完了報告までが義務づけられていることが大半です。

前回の中央区月島での木造耐火4階建賃貸住宅に引き続き、今回も芹沢隊員がこの高度な技術を活かして、設計と監理を担当しています。」

↑前回の中央区月島の木造4階建賃貸住宅

先日、社内検査でチーム全員と確認しました

先日、この物件で社内検査を行いました。設計担当と現場チームで集まり、図面と現物を突き合わせながら、約70項目に及ぶ社内検査確認事項を皆でひとつずつ確認していきました。

そのうえで、私からもプチレクチャーをさせていただきました。耐火の考え方は何に基づいているのか、なぜこの納まりでなければいけないのか、それは「この現場だけ」の話で終わってしまいます。そうではなく、今後は設計も現場も、みんなが木造耐火を自分の手で設計し、施工できるようになってほしい。その思いで話をさせてもらいました。

スタッフそれぞれに質問が次々に出てきて、予定時間をだいぶオーバーしましたが・・・笑。技術というものは、一人が持っていても会社の力にはなりません。チームで共有されてはじめて、地域に建てられる建物の選択肢が増えていく。隊長はそう考えています。

岡庭建設が木造耐火に取り組む理由

東京都西東京市の工務店・岡庭建設では、木造2,3階だけでなく、木造耐火4階建ての共同住宅を「ROEMI(ロエミ)4F」としてプロダクト化し設計施工しています(1品生産ですが)。鷺宮と中央区月島の物件では東京ゼロエミ住宅の認証も取得しました。

なぜ賃貸住宅で、しかも木造耐火なのか。都市部の限られた敷地で、防耐火性能と耐震性を確保しながら、断熱・省エネ性能まで戸建てと同じ水準で考える。そういう賃貸住宅が、この街にはもっとあっていいと思っているからです。木造でつくれるということは、地域の職人さんの手で建てられるということでもあります。そこには、私たちが30年以上向き合ってきた木造住宅の技術がそのまま生きています。

木造耐火4階建ては、「木造でも4階が建てられます」という話ではありません。木という素材の可能性を、法と技術できちんと担保しながら都市に持ち込む仕事です。だからこそ図面の一本の線、ボード一枚の張り方にまで意味がある。派手さはありませんが、こういう積み重ねの先に、木の街並みが少しずつ広がっていくのだと感じています。

今回は少々難しい内容のコラムになりましたので、見学会場で細かな点をご説明できれば幸いです。

隊長は2日目に現地で説明予定です。

 

隊長

よくあるご質問

Q. 木造4階建ては本当に安全なのですか?
A. はい。耐火建築物は、火災が終了した後も消防活動によらず建物が倒壊せずに自立し続けることが求められる、建築基準法上もっとも高い防火性能の区分です。木造であっても、耐火構造として大臣認定または告示仕様に適合していれば、鉄骨造・RC造の耐火建築物と同じ基準を満たしています。

Q. 木造耐火は準耐火とどう違うのですか?
A. 求められる性能の水準が違います。準耐火は火災による延焼を所定の時間抑制する性能ですが、耐火は火災が終了した後も建物が倒壊せず自立し続ける性能です。そのため準耐火では「燃えしろ設計」で木を現しにできる一方、耐火では強化せっこうボード等で連続的に覆う(メンブレン型)方法が一般的になります。

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