木造施設を見学/全建総連新会館

「隊長の気になるニュース」
隊長IKEDA隊長

皆さん、こんにちは!IKEDA隊長です。

お盆休み中いかがお過ごしでしょうか

そのお盆前の先日、東京・高田馬場で建て替え工事が進む「全建総連 新会館」の構造見学会に、お声がけをいただいて足を運んできましたー。仕上げ前の、木構造が”むき出しの状態を間近で見られる貴重な機会です。しかもこの建物は、鉄筋コンクリート(RC)と木造を組み合わせた「ハイブリッド構造」。中大規模の木造建築がこれからどう建てられていくのか・・岡庭建設でも昨今、住宅以外の中規模木造建築の声がけもあり、その最前線をと、現場でじっくり拝見してきた次第です。(*R8年熊本地震発災前の見学会です)

そもそも「全建総連」とは?大工・職人の労働組合です

全建総連(正式名称:全国建設労働組合総連合)とは、大工・左官・一人親方など、建設業に携わる職人・労働者が個人で加入する、日本最大の建設労働組合です。1960年に結成され、都道府県ごとの組合が集まった連合体で、組合員数は約62万人にのぼります。建設国保や一人親方の労災、職人の技術の継承や処遇改善などに、長年取り組んできた団体でもあります。

実は岡庭建設も、もとをたどれば会長が大工として一人で始めた工務店なんです。という事で、半世紀にわたり、全建総連の東京の仲間である「首都圏建設産業ユニオン」とのつながりの中で歩んできました。ですから今回の見学は、私にとっても“身内の新しい住まい”を見せてもらうような、少し特別な気持ちのある一日でもあるんです。また、岡庭建設の社員大工たちもこの旧総連会館で、大工育成の座学や実習を学んできた場であり、工務店団体等他、数え切れなきくらい利用させて頂いた施設でもあるんです。

木造とRCの「ハイブリッド構造(混構造)」を見学して

この新会館は、RC(鉄筋コンクリート)造と木造を組み合わせた「混構造(ハイブリッド構造)」でつくられています。混構造とは、ひとつの建物の中で鉄筋コンクリート・木造といった複数の構造を、適材適所で組み合わせる建て方のこと。

具体的には、地震の力は基本的に頑丈なRC躯体が受け持ち、そのRCに抱かれるように大断面の木造の骨組みが載る、という考え方でした。地上4階建て、延床面積は約1,574㎡(約475坪)、最高高さは約18mという、住宅よりずっと大きな規模の建物。木とコンクリート、それぞれの長所を持ち寄って一棟を成り立たせている・・その取り合い(接点)を間近で見られたのは、技術者として大きな収穫でした。

圧巻だったのは、最上階の木の大空間

いちばん見応えがあったのは、最上階(4階)の大会議室でした。柱のない大きな空間の上に、大断面の集成材による骨組みが伸びやかに架かっていて、思わず見上げてしまう迫力です。長いスパン(差し渡し約18m)を飛ばすため、屋根の一部は鉄骨のトラス(三角形を組み合わせた骨組み)で支えられていました。

構造材には、国産のカラマツ集成材(長野・北海道産)を採用。おもしろかったのは、太い柱が、住宅で使うような部材を何本も組み合わせ・貼り合わせて(二次接着して)一本に仕立ててあったこと。その“束ねられた木”の表情が、とにかく綺麗なんですね。この建物だけで木材を約150㎥、しかもすべて国産材で使う計画だと伺いました。

この木の柱は、これから石膏ボードで包まれます

見応えのある木の骨組みですが、実はこのあと、その多くが石膏(せっこう)ボードで覆われて見えなくなる予定だそう。これは「メンブレン型木造耐火構造」といって、木の柱や梁を強化石膏ボードでぐるりと被覆することで、火災に強い「耐火構造」の性能を確保する方法です。中大規模の木造建築が建てられるようになったのは、この技術の進歩によるところが大きいのです。

それで木が完全に隠れてしまうのは少しもったいない・・と思いきや、この現場では耐火のためのボードで包んだ上から、さらに化粧として国産の木の板を張り直し、木らしさを表に出す計画だそうです。安全性を確保しつつ、木の温もりもきちんと見せる。その一手間がなんともGOOD!

「仲間の手でつくる新会館」というコンセプト

この現場でもうひとつ心に残ったのが、掲げられていた設計コンセプトです。いわく「仲間の手でつくる新会館 〜施工者を限定する特殊工法ではなく、広く普及する技術の積み重ねによりつくられ、多くの職種が関わり、職人の技術が感じられる建物〜」。

特別な会社しか扱えない工法ではなく、全国の職人が積み重ねてきた“ふつうの技術”をていねいに束ねて、大きな建物を成り立たせる。職人の団体である全建総連の会館らしく、そして私たち工務店の価値観とも深く重なる考え方だなとめちゃめちゃ感動した次第です。

*現在全建総連は令和8年熊本地震の対応を優先中(8月11日現在)

渋谷で巨大な木造建築も

余談ですが、先日仕事の関係で渋谷に行ったのですが、商業施設の「丸井」の再建築中が目に入りました。木造でとは聞いていましたが、改めて足場等が解体されてその全貌がお目見えすると、何と外部も木質に・・驚

でも、いいデザインですね!

木造は住宅のイメージがありますが、昨今の技術革新と森林国日本、そして国内の脱炭素化を目指す上で、小規模だけでなく中大規模建築物までこの様に木造化されてきています。時代の進化に本当に驚きますが嬉しい限り。より、私たちも更なる技術向上と革新を目指し、大工技能を活かした木造建築に取りくんで参ります。

 

岡庭建設と、これからの木造建築

正直に言うと、私たち岡庭建設でも、ここ数年で木造建築のお問い合わせがはっきりと増えています。住宅だけでなく、共同住宅や施設など、以前なら鉄筋コンクリートや鉄骨で建てていたような建物を「木で」というご相談です。

背景には、近年の資材高騰のこともありますが、大きくは国の後押しもあります。2021年に施行された「都市(まち)の木造化推進法」(正式名称:脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律)により、木材利用の対象が公共建築から民間建築物一般へと広がりました。林野庁のまとめでも、低層の公共建築物の木造率は2010年度の17.9%から2021年度には29.4%へと上昇しています。木造は、脱炭素の時代にあらためて選ばれ始めているのです。

だからこそ、こうした中大規模木造の現場を自分の目で見て、手で触れて学べる機会は、本当に貴重でした。私たちが日々向き合う住宅づくりの延長線上に、こうした建築の未来がある。そのことを、現場で確かに実感できた一日でした。

木の骨組みは、やがてボードに包まれて見えなくなります。それでも、その一本一本を組み上げた職人の手仕事は、確かに建物の中に生き続けます。安全に、末長く使われる建物をつくりながら、木の文化と職人の技術を次の世代へ手渡していく。その現場に立ち会えたことに感謝しつつ、私たちもまた学び続けていきたいと思います。今年度中には完成する予定だそうで、完成後早々に利用させていただこうと思っています・・・笑

隊長

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