越後門出和紙訪問へ

コラボ
隊長IKEDA隊長

皆さん、こんにちは!IKEDA隊長です。

先日、新潟県柏崎市高柳町にある「越後門出和紙の工房、高志の生紙工房を訪ねてきました。

越後門出和紙とは、柏崎市高柳町の門出地区で、雪国の冬の手仕事として受け継がれてきた手漉き和紙のこと。
楮(こうぞ)という木の皮を原料に、雪の上で皮を晒して白くする「雪晒し(ゆきざらし)」という、雪国ならではの工程が大きな特徴です。

実は和紙は利用させて頂いていたので、前から一度工房を訪問しようと計画していたのですが、中々予定が割けず延期になっていたんです。が、ようやく念願が叶った隊長です。

↑新潟の山あいに佇む高志の生紙工房

越後門出和紙とは

越後門出和紙は、紙漉きの家系に生まれた五代目・小林康生さんが、ほぼ途絶えかけていた門出の紙漉きを守り、育ててこられた和紙です。

大正時代、門出の約200戸のうち約40戸が冬の副業として紙を漉いていたそうです。ところが小林さんが紙づくりを志した1973年には、紙を漉いていたのはご自宅1戸だけだったといいます。そこから地域おこしの一環として1986年に「越後門出和紙」と名付けられ、今日まで続いてきたとかです。原料の楮は自ら育て、雪が降る前に刈り取る。雪の上に白皮を並べ、雪がアクを吸い、冬の日差しが白さを生む。まさに「風土の紙を育てる」という言葉そのものの取り組みです。

楮の皮から一枚の紙へ

一枚の手漉き和紙ができるまでには、驚くほど多くの工程と時間がかかります。楮の皮を剥ぎ、洗い、煮て、繊維をほぐし、漉き、そして乾燥させる。どの工程も人の手と目で確かめながら進められていきます。

漉き舟(すきぶね)の前では、簀桁を揺らしながら繊維を均一に絡ませていく作業が続いていました。手前には漉き上がったばかりの紙が、一枚ずつ重ねられています。印象的だったのは、求められる紙のあり方に応じて、厚みを出すために一層ずつ丁寧に漉き重ねていく様子です。同じ「和紙」でも、用途によって作り方そのものを変えているんですね。あの有名な企業のラベルも門出和紙さんとか、全国、そして世界的にも依頼されているそうです。

↑簀桁を使って一枚ずつ紙を漉いていく

漉いた紙は水を切ったあと、温めた鉄板の上に一枚ずつ貼り付けて乾かしていきます。刷毛で空気を抜きながら、しわ一つないよう丁寧に貼っていく姿は、まさに職人の仕事。

↑漉いた紙を鉄板に貼り、乾燥させる工程

照明、紙糸、障子紙へ

工房の中には、小林さんの飽くなきものづくりへの挑戦が、あちこちに展開されていました。和紙を照明器具に仕立てたもの、和紙を細く裂いて糸にし暖簾に織り上げたものも。紙が「糸」になり「布」になるというのは、正直なところ私も初めて目にするもので、思わず見入ってしまいました。和紙を通した灯りは、繊維の模様がそのまま浮かび上がり、なんとも言えない柔らかさがあります。

↑和紙ならではの柔らかな光を放つ照明

特に素敵だったのは、簀を使って漉いた和紙が、障子紙へと姿を変えて建具に貼られていく、伝統的な手法とその取り組みです。小林さんが実際の障子を指さしながら、目の細かい簾を作り上げ、そこに漉いていき作り上げる。その道具から生まれた紙の表情や光の通り方を説明してくださいました。光を柔らかく通す障子は、日本の住まいが長く大切にしてきた知恵そのもの。住まいづくりに携わる者として、胸が熱くなりました。

↑門出和紙を貼った障子について説明してくださる小林康生さん

厚手の和紙も見せていただきました。手に取ると、しっかりとした張りと、ふっくらとした風合いが同居しています。表面には楮の繊維や皮の粒がそのまま残り、一枚一枚がまったく違う表情をしているんです。また、自然手法で紙の毛羽立ち等を防いた紙やそのやり方を教えてもらいました。

↑厚手の和紙を手に、紙づくりの話をしてくださる小林さん

隈研吾さん、そしてお客様とつながる不思議なご縁

今回の訪問には、いくつもの不思議なご縁が重なっていました。

小林さんは、建築家の隈研吾さんと協働されることも多く、サントリー美術館をはじめ、さまざまな公共施設などで小林さんの和紙が使われていると伺いました。岡庭建設も以前、隈研吾さん監修の「和國商店」のプロジェクトをご一緒させていただいた経緯があり、それだけでも親近感が湧きます。

そして何より驚いたのが、岡庭建設で家づくりをさせていただいたお客様(おかにわファミリー)の息子さんが、小林さんのもとに弟子入りして、和紙づくりの修業をされているということ。これには本当にびっくりしました・・笑

実際に工房でお会いして、師匠の隣で紙と真剣に向き合う姿を拝見できたことは、今回いちばんの喜びでした。これは本当に嬉しかったですね。

↑師匠の小林康生さん(左)と、弟子入りして修業中のおかにわファミリーの息子さん(右)と一緒に

灯台下暗し?/世界が注目する和紙の価値

当日は、海外から和紙づくりに興味を持って訪れている方々の姿もありました。

テレビ番組の「YOUは何しに日本へ?」ではありませんが、遠い国からわざわざ新潟の山あいまで足を運び、真剣に紙漉きに向き合っている姿を見て、何だかハッとさせられました。

私たち日本人は、身近にありすぎて和紙の価値にいまひとつ気づいていないのかもしれませんね。まさに「灯台下暗し」です。自然の素材と人の手、そして土地の気候がつくり出す和紙は、世界から見ればとても価値の高いものなんだと改めて感じました。

↑楮の繊維がそのまま残る、門出和紙の豊かな表情

自然素材と手仕事を、これからの住まいへ

今回の訪問で改めて感じたのは、素材の背景にある「人の手」と「土地の風土」の大切さ。岡庭建設では、杉をはじめとする木や自然素材を使い、社員大工が一棟一棟手をかけて家づくりをしています。和紙の工房で見た、手間を惜しまず、用途に合わせて一枚ずつ仕立てていく姿勢は、私たちが大切にしたいものづくりと同じ考えです。

新潟の山の中にある門出は、今回は日帰りで、多くの時間を割くことはできませんでした。それでも、和紙という一枚の紙の中に、これほど多くの可能性と挑戦が詰まっていることを、この目で見ることができた一日でした。日本の伝統的なものづくりの価値を、住まいを通じてお客様にお伝えしていくこと。それも、私たちの大切な役割だと感じています。

隊長

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