JBNーIN山形で会議とコパル見学

「隊長の活動他」のこと
隊長IKEDA隊長

皆さん、こんにちは!IKEDA隊長です。

先日、JBN・全国工務店協会の北海道・東北ブロック会議が山形市で開かれ、隊長も出席してきました。冒頭に副会長としてご挨拶をさせていただき、今後の本部の施策についてもお話ししました。その後の情報提供、そして各地の工務店の皆さんとの率直な意見交換と、とても有意義な時間となりました。

↑JBN北海道・東北ブロック会議の様子(山形市)

翌日は、山形の先輩工務店の皆さんのご案内で山形を周遊。その中で、隊長が以前からぜひ見たいと思っていたのが「シェルターインクルーシブプレイス コパル」です。

シェルターインクルーシブプレイス コパルとは、障がいの有無や国籍、家庭環境に関わらず、すべての子どもたちが遊び・学べる場として山形市が整備した児童遊戯施設です。2022年4月に開館し、設計は大西麻貴さん・百田有希さんの建築設計事務所「o+h(オー・プラス・エイチ)」が手がけました。ということで、実際に館内と外観を見学!

コパルとはどんな施設か/蔵王連峰に呼応する大屋根

コパルは、山形市南部の片谷地地区にある、入館無料の屋内外一体の遊び場です。敷地は約2.2ヘクタール、延床面積は約3,200㎡の地上2階建てで、構造は鉄筋コンクリート造と鉄骨造に、一部木造の屋根を組み合わせた混構造です。

名前の「コ」は子ども・個々、「パル」は英語の友だち(pal)とイタリア語の公園(parco)に由来しているそうです。素敵な名前ですよね。外観でまず目を奪われたのは、ゆるやかにうねる大屋根です。背後の蔵王連峰の山並みに呼応するようにデザインされた屋根は、軒裏に木が張られ、大地に低く寄り添うように伸びていきます。建物が「建っている」というより、「地形の一部になっている」・・そんな印象でした。

整備はPFI方式(民間の資金やノウハウを生かして公共施設を整備・運営する手法)で行われ、山形の木造建築会社シェルターなど10社が出資した特別目的会社が、設計・建設から15年間の運営・維持管理までを担っています。地域の企業が公共建築を支えている点にも、同じ地域の作り手として心強さを感じました。

↑蔵王の山並みに呼応する大屋根。芝生広場から見た外観

木のアーチ梁が生む、柱のない大空間

館内に入ると、頭上に木のアーチ梁が幾重にも架かる、柱のない大きな空間が広がります。天井にはカラマツでしょうか、やさしい表情の湾曲した集成材が使われていて、黄色い間接照明が梁の曲線をやわらかく浮かび上がらせていました。

体育館は、木製のアーチ梁によって柱のない構成になっています。上階からのぞき込むと、バスケットコートや卓球台の向こうに横長の窓が続き、その先には山形の山並み。窓は蔵王連峰の稜線に沿うように配置されているそうで、遊びながら自然と山を感じられる設計です。

技術者として特に感心したのは、木・鉄・コンクリートの「適材適所」です。大きなスパンや複雑な三次元の曲面は鉄骨とRCがしっかり受け止め、人が見て触れる部分には木を使う。木の良さを最大限に引き出すために、あえて他の素材と組み合わせる木を「どこに、どう使うか」という設計の判断こそが、空間の質を決めるのだと改めて実感した気がします。

↑木のアーチ梁が架かる体育館の天井。上階から見下ろして

遊具を「置く」のではなく、建築そのものが遊び場に

大型遊戯場は、地形がそのまま遊具になったような空間です。大きな木の斜面には手がかりやロープが取り付けられ、足元にはトンネル、斜面の下にはやわらかなマット。登る、滑る、くぐる・・子どもたちはそれぞれ、自分の力に合った遊び方を自分で見つけられます。

そして、体育館と大型遊戯場をつなぐのが、全長約210mのスロープです。このスロープは車いすの子どもの通路であると同時に、子どもたちにとっては楽しい坂道でもありますね。段差をなくすためのスロープは、ともすると「配慮のための設備」になりがちです。それをコパルでは、誰もが一緒に楽しめる「遊びの場」として設計に溶け込ませている。バリアフリーを「特別扱い」ではなく「みんなの楽しさ」に変える発想の転換に、建築の力を感じました・・涙

↑地形がそのまま遊具になった大型遊戯場

「すべての子ども」のために、「一人の子ども」を想像する

コパルの館長さんは、インクルーシブデザインの原点は、特定の一人の子どもに寄り添うことにあると語っています。「すべての子どもたち」に届く場をつくるために、まず一人ひとりの子どもの姿を具体的に想像する、という考え方。

計画にあたっては、有識者や地域の方々による創造会議、市役所との対話が重ねられたそうです。その積み重ねもあってか、開館初年度の来館者は15万人を超えたとのこと。2022年度グッドデザイン賞「グッドデザイン・ベスト100」、2023年日本建築学会賞(作品)など数々の賞を受けていることにも、うなずけます。

山形のそばの名店「三百坊」で感じた、地域に寄り添う工務店の姿

お昼は、山形のそばの名店「そば処 三百坊」へ。山あいに建つ古民家のお店で、どっしりとした大屋根と、その頂にのる煙出しが印象的な建物です。色づき始めた木々の向こうに見える姿は、まさに山形の原風景といった趣でした。

↑古民家のそば処『三百坊』。大屋根と煙出しが印象的です

入口の大きな板戸には、長い年月を重ねた木目がくっきりと浮かび上がっていました。年輪のやわらかい部分が少しずつ風化し、硬い部分が残ることで生まれる表情です。新しい材では決して出せない、時間がつくった美しさですよね。

↑年月を重ねた板戸の木目が美しい入口

いただいたのは、ほんのりと粒の見える香り高いおそばと、揚げたての天ぷら。ブロック会議から続いた2日間の疲れも、すっと抜けていくようなおいしさ!

↑香り高いおそばと揚げたての天ぷら

実はこちらのお店、建物のメンテナンスなどは、この日ご案内いただいた先輩工務店が対応されているそうです。古い建物を気持ちよく使い続けるには、屋根や建具、設備の手入れを、建物の癖をよく知る作り手が継続して見守ることが欠かせませんから。

全国の工務店の仲間と接するたびに感じるのは、地域の工務店は、それぞれの土地で、暮らしや地域の大切な建物に本当に寄り添い、活躍しているということです。新築をつくって終わりではなく、その後何十年も「何かあったらあの工務店さんに」と頼られる存在であり続けている。三百坊の大屋根を見上げながら、そんな先輩の姿に改めて頭が下がる思いでした。

地域の工務店として、山形で受け取ったもの

今回の山形行きは、ブロック会議での意見交換、そして先輩工務店の皆さんとのコパル見学や三百坊での昼食と、まさに「地域で家をつくる仲間」とのつながりを実感する2日間でした。全国約3,000社が集うJBNのネットワークがあるからこそ、こうして各地の取り組みや建築から学ばせていただけるのだと、ありがたく感じています。(ご案内いただいた先輩方、本当にありがとうございました m(_ _)m)

隊長

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